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乳酸って何でしょうか? |
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生きているエネルギーがATPという形で供給され、そのATP供給の仕方にはいろいろあるということは、運動生理学の第一歩です。そして酸素を使ってミトコンドリアでATPを再合成するのが有酸素的エネルギー獲得機構、酸素を使わずに乳酸が出きてATPが再合成されるのが無酸素的エネルギー獲得機構となります。
さて、乳酸と乳酸菌について第一番目に説明したいと思います。
乳酸菌はミトコンドリアがないので、糖を分解して「乳酸」を作ってATPを作るしかないから、「乳酸」菌なのです。また「乳」酸という名前は、牛乳に乳酸菌が繁殖して腐ったときに酸っぱくなるから、乳の酸なので乳酸です。
この話からわかることは、
(1)乳酸が出ることは酸素を利用するかどうかに関わっている。
(2)「乳酸は酸である。」から、乳酸が溜まると牛乳は酸っぱくなる。これが乳酸を考えるときのまず第一の本質になるでしょうか。
ただしこのことにあまりこだわりすぎると、これから説明ししていくような、運動による乳酸の代謝が理解しにくくなります。
乳酸ができるのに酸素を必要とはしません。そのため乳酸ができることによるエネルギー獲得が、無酸素的エネルギー獲得機構と呼ばれることになります。そこで乳酸が動物の運動によってできてくると、それは乳酸を作る筋が無酸素状態だからと考えがちです。
しかし実際にはよほどのことがない限り、生さている筋の中に酸素がなくなって無酸素状態になることはありません。
生きている限り、必ず各組織に酸素は供給されています。もちろんそうして供給される酸素だけでは足りないので、乳酸ができるのだという説明はできますが、それにしても無酸素状皆だから乳酸ができるという説明は正しくありません。乳酸はかなり強度の低い、酸素供給が不足しているとは思えない状態でも、産生されてきます。
乳酸は酸素、無酸素ということに関係なく、生きている限り必ずできると考えていったほうがいろいろなことをうまく説明できます。乳酸菌の詰からすれば、酸素を使わなければ乳酸を作ってATPを再合成するのですが、乳酸が出ること=無酸素状皆ではありません。乳酸菌でも周りに酸素がないのではなく、利用しないだけです。
ヒトにも細菌と同じように、ミトコンドリアがなく、生きている限り必ず乳酸を作り続ける器官があります。それは赤血球です。赤血球の役割は酸素を肺から全身に運ぶことです。酸素を運ぶ仕事をしながら、自分はその酸を全く利用しないというのも面白いことです。全身の血液量は体重の6%といわれています。その半分ぐらいが赤血球ですから、全身で赤血球はかなりの量になります。
それがすべて乳酸を作ることもあって、血中乳酸濃度は安静時でも常にある程度のレベルが維持されます。乳酸はどんなときにも作られているというひとつの例です。
赤血球は、ミトコンドリアがないだけでなく、核もない不思議な器官です。酸素の輸送に徹して、最低限必要なものだけが残ったのかもしれません。そういう器官で糖を分解して乳酸を作ることで生さています。このことからも乳酸を作るということが悪いことばかりでなく、生物には必然的なことなのではないかと私には思えます。
乳酸菌の話から得られるもうひとつの大事なことは、乳酸ができると周りが酸性になっていくということです。体内は基本的にはpH7.4前後の中性に保たれています。乳酸が多く作られると、この体内の恒常性が乱れます。そこで運動中にたくさん乳酸がでさるようになると、それにより恒常性が乱れ、その運動を持続できなくなります。
ただしもともと体内には酸を中和する働きが様々備わっていますから、多量の乳酸によって体内が酸性になるといってもごくわずかの程度です。ところで、酸性、アルカリ性というのは水素イオンH+の濃度のことです。そして水素イオンの濃度が細胞の中と外とで差があることが利用される場合もいろいろあります。乳酸ができるとこの水素イオンが供給されます。それが都合のよいこともあるようです。
ですから酸である乳酸ができることも、必ずしも恒常性を乱す悪いこととばかりはいえない場合もあるのです。
● まとめ
「乳駿」というのは、放置しておいたりして悪くなった牛乳に溜まった酸から、その名前が由来しています。ミトコンドリアのない乳酸菌や赤血球では、酸素を使わないで乳酸が作られます。ただし乳酸ができるということが、その組織が無酸素状悪であることを示すのではありません。乳酸は酸であるので、多量に蓄積すれば、その組織の環境を酸性にして恒常性を乱す可能性があります。 |
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