| Sports Nutrition |
Q&A ご質問にお答えします |
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● 鉄の摂取は女子選手の貧血にどの程度有効ですか?
[質問]
女子選手がスポーツ性貧血で困っています。鉄分の摂取について教えて下さい。
[回答]
運動が原因で赤血球あるいはヘモグロビン濃度が基準値を超えて低下した状態をスポーツ性貧血(sports
anemia)といいます。スポーツ性貧血は鉄欠乏を特徴とする貧血であり、ヘモグロビンの合成,赤血球の産生が十分に行なわれないために酸素運搬能が低下し,運動能力に甚大な影響を与えることになります。
トレーニングにおける鉄の役割はヘモグロビンによる酸素運搬だけではなく、電気伝達系においてシトクロームオキシダーゼをはじめとする鉄含有酵素は、好気的条件下で行なわれるATP産生に重要な働きをしているものが多いです。そのために鉄欠乏時には骨格筋の酸化的エネルギー産生能力が著しく減退し、持久力の低下が起こります。さらに、赤血球数の減少にともなう酸素供給不足は、細胞内酸化酵素の活性低下と相乗的に作用し、運動後の血液中乳酸濃度を著しく増加させ、疲労の回復を遅延させることになります。
スポーツ性貧血は多くの場合、鉄欠乏性貧血のため、鉄の補給によってヘモグロビン濃度および赤血球数の増加が期待できます。一定期間のトレーニング休止、鉄摂取量の増加は貧血の改善に有効に作用します。
鉄を摂取する場合、速効性を期待するのではなく十分な健康管理のもとにバランスのとれた食事を摂取することが望まれます。定期的に血液検査によりヘモグロビン濃度などを測定し、鉄の栄養状態を把握することが最善の方法です。
鉄を過剰に摂取しても貯蔵鉄が飽和してしまえば、機能鉄として利用されることはありません。すなわち、貧血ではない選手がスポーツパフォーマンスの向上を期待して過剰に鉄を摂取してもまったく効果は得られません。そればかりか、腸管刺激性障害をはじめ鉄過剰症(ヘモクロマトーシス)に起因する種々の健康障害や発癌の危険性が増大することにもなります。
日本人の鉄の所要量は成人男性で10mg/日、女性で12mg/日であり、このとき貯蔵鉄の飽和度は約30%なので,所要量の3倍程度が鉄摂取量の上限と考えられています。
したがって、ハードなトレーニングを日常的に行なう人の鉄摂取目標は、1日当たリ20〜30mgが適当と考えられます。鉄摂取の有効性と危険性から考えて、1日当たりの総摂取がこの数値以上にならないことが望ましいです。
食品の種類によって鉄の吸収率に大きな差があることが知られています。肉類に含まれるヘム鉄は吸収率は高く、逆にほうれん草などの植物性食品の鉄は吸収率が低くなっています。ただ、ヘム鉄は胃や腸に刺激が強いことが欠点であり、植物性食品の鉄分は胃や腸にやさしい成分になっています。
また、ビタミンCやB12は鉄分の吸収を促進しますが、リン酸や食物繊維は鉄の吸収を抑制する働きがありますが通常の食事レベルであれば問題はありません。
最後に、極端な事例に基づく「鉄」への過剰な期待は持つべきではありません。鉄摂取の有効性は,性別、年齢,競技歴,貧血発症からの期間、発症程度、栄養状態などによって変化します。個々の選手ごとのこまやかな対応が重要となります。
担当選手で貧血に悩んでいた女子水泳選手のAさんは、食事での鉄分摂取を増やすための特別メニューとホエイプロテイン、テツタブ、牛乳を利用し貧血状態を克服しました。
約2ヵ月後には、体脂肪量も19.6となり浮力の面でも改善されベスト記録がでています。 |
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