タイトルの疑問に対する答えは効率ということに集約されています。
仮に運動としてジョギングを選んだとするならば、もし、あなたがあまりにも遅いペースでジョッグしたとすると、期待すべき効果を得るには永遠の時間がかかるかもしれません。
また、あまりにも速過ぎるペースでジョッグしたとすると、疲労困憊するだけで、得るものは何もありません。最大の効果を得るのにちょうど良い程度に筋肉を働かせることですが、その程度を越えてやり過ぎてはならないポイントがあるのは明白なことになります。
筋肉の活動自体を計測することは難しいため、私たちは筋肉の酸素必要量を測定する方法があります。酸素必要量が多くなるにつれ、心拍も速くなってきます。ハードに運動すればするほど、心指数は多くなっていくわけです。
表に示したように、それ以上どんなにハードに運動しても心指数が増えない最高限度が年齢に応じてあり、20歳以下の若い人の場合、この限度は200拍/分となる。40歳の人なら180が最高限度となる。
| 年齢 |
最高心拍数 |
85% |
80% |
75%) |
| (運動選手のトレーニング) |
(望ましいトレーニング) |
(心臓病歴のある人 |
| 20 |
200 |
170 |
160 |
150 |
| 30 |
190 |
162 |
152 |
143 |
| 40 |
182 |
155 |
146 |
137 |
| 45 |
179 |
152 |
143 |
134 |
| 50 |
175 |
149 |
140 |
131 |
| 55 |
171 |
145 |
137 |
128 |
| 60 |
160 |
136 |
128 |
120 |
高度にトレーニングされたスポーツ選手は、体力のない人に比べ、最高限度の心指数(最高心指数)はより高いのではないかと思う人もいるだろうが、実際にはそうではありません。また、女性は一般的に男性より小さいので、男性よりも最高心拍数は高いと思われるかもしれません。しかし、男性の最高心指数と女性のとでは、ほんの少しの違いがあるにすぎないのです。
実際のところ最高心指数に影響を及ぼすものは、年齢だけなのです。年を取れば取るほど、限度一杯で運動するときの心拍数は少なくなるのである。
この年齢別最高心指数は、スポーツ選手が競技中の最も激しい状態でのみ体験するもので、通常、私たちが日々効果的な運動をしようとするときは、この最高心指数の80%になるようにするべきである。
例えば、40歳の人なら、最高心指数は182であり、その30%つまり146程度になる運動をすべきだということです。
では、ここで40歳の人3人について考えてみることにしよう。まず最初の人は、大変崩れた体型をしている、つまり外からみて分かるだぶついた皮下脂肪のほかに多量の筋肉間に脂肪がある人である。こういう人は、ちょっと速く歩くだけでいともたやすく心指数は146まで上がってしまうだろう。2番目の人は、もう少しましな体で、146まで心指数を高めるにはジョッグしなければならない。そして最後の3番目の人は、体の引き縮まったスポーツ選手で、同じ心拍数に高めるためには、相当速いペースで走らねばならないだろう。
同じ心指数にするのに、最初の人は大した運動はしていないのに対し、3番目の人は最も激しい運動をしているようにみえるかもしれない。だが、実際は、この3人は同じ程度の運動をしている。つまり心臓、師、筋肉に得られる運動効果は同じなのです。
身の引き縮まった友達と一緒にジョギングをしようとしてきた肥満体の人は、長年、その友人と同程度の運動をするには、同しスピードで走らねばならないと考えてきたのだが、今や、いかなるスピードであろうとも、正しい心指数に高める運動なら、歩いても、ジョギングでもランニングでも良いのだということを知っているわけになります。
スポーツマンの男性で、奥さんに無理やり激し過ぎる運動を強いる人は、考えを改めてもらわねばならない。「少し一緒にジョギングしよう」といって無理に奥さんを連れ出しているわけだが、夫婦で一緒に走ると、夫にとっては遅過ぎ、妻にとっては速過ぎるスピードで走ることになります。
一方は適度な運動になっていず、他方は過度な運動をしているのであり、両者にとって効果的でない運動ということになっています。男性と女性では筋肉の量が違うので、一緒に運動することは考え直すべきかもしれません。平均的男性は女性より20%筋肉が多く、脂肪は30%少ないものです。だからといって女性の方はがっかりしないでいただきたい。パワーが求められる運動では、男性のほうが強いであろうが、持久力を必要とする運動では女性のほうが優れているという研究結果はどんどん増えつつあります。女性は、ひとりで運動するか、別の女性とともに運動するほうが、よりエンジョイできます。男性と女性が一緒に走れる唯一の場合は、男性が女性より数歳年長か、男性のコンディションが極めて悪く、一方女性はすこぶる良いコンディションのときなのです。
誰かに調子を合わせようとして無理するようなことは、決してしてはいけません。表をみて、自分に合った正しい運動中の心指数を決定すれば良いのです。そしてエアロビックな運動のなかから1つを選ぶということになります。エアロビックな運動は、その心指数で最低12分間休むことなく続けねばならず、これを週6日行う。初めの何回かは、運動開始後1〜2分に、心指数をチェックするために立ち止まリ、秒針で6秒間計リ、心拍数を数え、それを10倍して、1分間の心指数を出す。その心柏数が正しい心指数よリも少なければ、運動の強度が低いわけであリ、逆に多ければ激し過ぎる運動をしていることになる。このように心指数をチェックする方法を「心指数監視運動」いう。こうすれば世界最高のコーチの監督下で運動しているようなものだ。
運動プログラムに関し、年老いた人や体型をひどく崩している人については、もっと楽な運動から始めるべきではないか、いきなり1日12分間の運動からスタートするのはやリ過ぎではないか、という質問を私は何度も受けている。だが、そうではい。心拍数監視運動の最大のポイントは、オーバー・トレーニングを防ぐという点にある。もしあなたがひどく崩れた体型をしているのなら、過度のストレスをかけないで、12分間速く歩くこともできないかもしれない。だが、這ってでもかまわないから、12分間は運動すべきなのである。望むのなら、初めの数週間は最高心拍数の70%レベルで行い、その後80%に高めても良い。運動強度は徐々に上げていって良いが、運動は初めから十分な時間持続させるべきなのである。
その持続時間があなたの体内の変化を促すのだ。歯列矯正器によって軽く持続的なプレッシャーをかけることで、歯が整えられるように、休も持続的なプレッンャーによく適応するのである。400mのトラックを猛烈に走リ、1500mかそこらを6分フラットで走れることが自慢なのだが、ウエスト・ラインは依然だぶついているのがなぜなのか分からない、といった人を見受けることがある。こういう激しい運動は、ウェイトコントロールにおいて、歯をハンマーで叩いて矯正するのと同じような効果しかない。ゆっくリ、長く走ること、そしてそれに体を適応させることが大切なのだ。表の心拍数は、安静時の心指数が男性で72、女性で80前後として考えられている。ある人の安静時の心拍数がかなつ少ない場合、表に示された数値に従うと心臓を酷使する過度の運動となる。72または80の平均値よリ12以上少ない人については、次の公式を用いて運動時の適切な心拍数を計算し直すことをお勧めします。
(最高心拍数一安静時心拍数)×65%+安静時心拍数=トレーニング心拍数
例を挙げてみよう。あなたの安静時心指数が55とし、年齢は40歳とすると、まず40歳の最高心指数は182だから、182から55を引くと127となる。127の65%は82.5。これに55を加えると、137.5になる。つまりあなたの運動中の心指数は表に示されている146ではなく、137〜138だということになる。
もうひとつ極めて重要な注意事項がある。最高心指数の75%という部分をみていただきたい。このような本を読み、やる気に満ちて運動を始めたは良いが、結局は心臓発作を起こしたなどということは実に悲しいことである。生理学者も、医師も、心臓の専門家も皆、適度な運動は心臓に障害を持つ人でさえ良い結果をもたらすことは認めている。問題は「適度」という言葉の定義である。75%の心指数は、医師により心臓病患者の治療に全世界で用いられている。しかし、なんらかの心臓病歴を有する人は、必ず、運動を始める前に医師にチェックをしてもらわねばならない。心臓発作はアメリカでは非常に多くまた危険なので、いくらかコメントを付け加えないではいられない。今や、規則的なエアロビツクな運動が心臓発作を防ぐということについては、疑問の余地はない。 だが、ジョギング中に心臓発作で倒れて死ぬケースもある。心臓発作を起こさないようにとジョギングしていたのにもかかわらずである。何人かの医師は、こうした運動中の心臓発作のケースを取リ上げ、だから運動は好ましくないのだというようにいっている。だが、これでは、病院に運ぶ途中で患者は死んでしまうこともあるから、救急車はいらか、というようなものです。
それでもなお、運動中の心臓発作は現実に起こっています。
心臓発作を起こす可能性があるかどうかを見つける最良の方法は、負荷心電図を取ってもらうことである。(通常、心電図は安静にした状態で取られるが、これでは運動中起こり得る異常については判断できない。この種のものは安静心電図と呼ばれる。)運動中の心臓の機能をみるには、患者にトレッドミル上をまず歩いてもらい、次にジョッグ、そして走ってもらう。この間心電図で心臓の動きをモニターするわけだ。これが負荷心電図であリ、運動中の心臓発作の可能性を信頼できるレベルで示してくれる。さらに、トレッドミルのスピードは徐々に上げられるので、運動強度もゆっくり高められ、異常がみえたときに医師は即座に中止させることができ、心臓発作を起こすに至らずにすむわけです。
あなたの自動車は、アイドリングのあるうちは申し分なく走っていても、ハイウェイで高速走行するときにはあまり調子が良くないかもしれない。そうすると、高速のときのエンジン状態を知るため、チェーンナップの間、エンジンを空転させてみなければならない。同様に、医師があなたについて、尿検査、血液検査、安静心電図による「十分」な身体検査を行い、どこも悪くないとすると、その医師にいえるのは「大丈夫です。ただし動かない限りは」ということだけである。
負荷心電図は、運動プログラムを実施する前に受けるテストとしては非常に優れたもので、特に40歳以上の人や危険なグループには必要である。だが残念なことに、この負荷心電図は費用のかかるもので、多くの人はお金がかかり過ぎるがために躊躇する。また心臓病を示すと考えられる胸の痛みが時々起こる人でさえも、負荷心電図を取らないで運動しようとする。もし、あなたが時々胸の痛みを感じるのであれば、是非とも、前に述べた6秒間で心柏数を計り、適度な心拍数で運動するという心拍監視を行っていただきたい。 |