エネルギーの収支からいえば、主食を減らした分のエネルギーをお菓子でとってもよいことになりますが、カラダにとってはいろいろと不都合が生じてきます。
第1に、穀物は炭水化物供給源ですが、そのはかにもタンパク質や鉄分も含んでいます。胚芽精米や全粒パンであればビタミンB群も含まれています。ところが、お菓子になると糖分と脂肪が中心で、ビタミンやミネラルという微量栄養素ははとんど期待できません。
スポーツ選手には、エネルギーだけでなくビタミンやミネラルにも配慮した食生活が必要です。
さらに注意すべきこととして、甘いお菓子など(砂糖は二糖類で消化・吸収が速い)を食べると、血糖値が急激に上昇します。カラダはこれに対して、血糖値を安定させるためにインシュリンというホルモンをたくさん分泌させてきます。
インシュリンにはブドウ糖を細胞に取りこむ作用があり、それにより血糖値を下げていきますが、トレーニングや試合前30分〜1時間のタイミングでお菓子などの甘いものを食べると、運動を始めるタイミングの時にインシュリンの分泌が多くなっていきます。
運動によって細胞内にブドウ糖が取りこまれる速度が加速されることにより低血糖の状態を招いてしまい、こうした現象が「インシュリン・ショック (インシュリン反応性の低血糖状態)」と呼ばれています。 ひどい時には、脳へのブドウ糖の供給もとどこおり、吐き気をもよおしたり、意識障害をひき起こすこともあります。こうなってしまっては、トレーニングや試合どころではありません。
ひどい状態にならないとしても、インシュリンが多く出ていることによって、脂肪がエネルギーとして利用しにくくなり、筋グリコーゲンの無駄遣いが多くなるといったマイナス面も見逃せません。また甘いものを口にしたときに水分を持っていないと、胃のなかの浸透圧が高くなるので、カラダの水分が胃のなかに注入されてしまい、脱水状態をひき起こすこともあります。
こうした理由から、トレーニングや試合前30分〜1時間は、菓子などの甘いものによるエネルギー補給は避けたほうが賢明です。(5分ぐらい前にエネルギー補給することは状況が違います。運動前にはアドレナリンというホルモンの分泌が多くなっており、これがインシュリンの分泌を抑制する働きがあります。)
第2に、お菓子はいつでもどこでも食べられるので、つい食べすぎてしまいがちです。
その結果、エネルギーオーバーになって体重が増加することになります。余分な体重の増加は選手にとってマイナスです。
第3に、お菓子に含まれている砂糖は穀物に含まれているでんぶんより消化・吸収が早いために、太りやすいといわれています。お菓子を食べてはいけないとはいいませんが、あくまで量はひかえめにすること。カラダを動かす日中に食べるようにし、夕食以降には食べないようにすれば、リラックス効果も期待できるので私はチョットだけ認めています。 |